園長室

「魅せる」理想と現実 (平成18年9月)



 8月もチンパンジーの森のオープン,お盆期間の夜の動物園と今シーズン最大の山場を超えました。まさかここまでと思うほどの記録的な入園者を迎え入れました。ただし,今年も想定以上の来園者数で迎え入れる体制が後手後手に回った感は否めませんでした。言い訳がましいですが,昨年の3割増のペースはさすがにいかがなものでしょう。「もぐもぐタイム」などで来園者との接点になる僕たち飼育展示係は,さまざまな理由からお客さんに頭ごなしに怒鳴られたり,叱られたりといったことが多くなりました。お客さんに「伝えよう」でここまできたのですが,その一番大切な気持ちが揺らぎそうになります。例えば,ツアーバスで来園される方は時間に縛りがあります。でもその時間内に観ることができると思って来園します。ところがそうはいきません。そこで,さまざまな不満が噴出します。一般来園の車が多くなると,ツアーバスが乗降場所に着くまでにも時間を消費してしまいます。今年もまた,さまざまな課題が浮き彫りになりました。来園者数が増えればいいでかたづけられる問題ではありませんね。

 さて,新居に引っ越したチンパンジーたちです。引っ越してからすぐにあたかも昔からそこで生活していたかのように馴染んでしまいました。たくさんの不安があったのですが,正直,拍子抜けするくらいでした。そして,前は檻越しに覗くと,扉を叩いたり大きな声を張り上げたり,水をかけてきたりと大騒ぎをしたのですが,それもすっかりしなくなりました。こっちの存在は分かっているのですが,餌を食べたり,寝たり,遊んだりと僕らを意識することなく生活をするようになりました。チンパンジーたちが気に入ってくれたようなので,まずは合格点ですかね。

 一方,お客さんはどう見ているでしょう?ちんぱんじー館は,ペンギン,アザラシのように比較的短い滞在時間で感動してもらえる施設ではありません。個体同士の関わり合いや個性などをじっくりと観察して欲しいと願い,建築しました。お客さんの意識の持ち方や期待の仕方で評価が大きく分かれているでしょう。自分自身は,今まで彼らを真正面から間近に観ることができなかったので,それができたことだけでもとても満足しているのですが…。

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