動物園のお医者さんからのメッセージ
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 かけがえのない一つの地球、つながっている一つの健康

 私たちが毎日食べている魚や野菜などの自然食材は、自然からの恵みです。これは、地球上の様々な生き物がバランスを保ちながら共に生きている(生物多様性)おかげ。私たちヒトを含む様々な生き物が生態系で役割を果たすことで、自然から生態系サービスを受け続けることができます。
 動物が生きていくために、植物、森は欠かせません。森のはっぱが地面に落ち、土に栄養を与えます。その栄養は、雨水とともに川から海へ流れ、植物性プランクトンやコンブなどの海草を育てます。そして、動物性プランクトンを育て、小魚や貝などの生き物を育てます。さらに、サケやマグロなどの大きな魚を育てます。つまり、豊かな森が魚や貝などの生き物を育て、豊かな資源を産み出します。私たちは、森から、酸素や水の他にも、これらの自然からの恵みをいただいているわけです。
 生態系は絶妙なバランスで健康に保たれています。ミミズ、オケラ、アメンボだって♪、カラス、ヘビ、毛虫だって、地球の健康に必要です。私たちは、特定の動物、特にハクチョウ、スズメやキツネなどの“かわいい”動物に餌を与え、やさしくした“つもり”になります。でも、そのえこひいきは、行動生態を変える、生態系のバランスを崩す、人とのトラブルや感染症を発生させるなど多くの問題を引き起こします。
 人やペットにとっての死はとても悲しいことですが、自然界での死は必ず次の命につながる尊いものです。カラスに襲われているスズメのひなを助けたい気持ちはやさしいものですが、巣でおなかをすかせて待っているカラスのひなのことも考えてみましょう。野生動物もヒトも平和にくらすためには、私たちが野生動物に過度に干渉し過ぎず、適度な“距離感”を保つことが必要です。大好きでもっと近づきたいのだけれども、そっとかげから温かく見守る…、のが本当の愛情ではないでしょうか? 一番大切なのは、野生動物や自然への“感心・興味”だと思います。次に、自然について広く“知る”ことです。
いろんな意味で、一番大事なのは、「人」です。私たちの身近な自然環境は、水(海)、空気(空)で地球全体とつながっています。そして、もう一つ、人間同士でもつながっています。私たちが身近な自然環境を大切にしていけば、北海道から日本へ、日本から北極、南極、世界へその想いは伝わっていくはずです。「情熱が未来を創る」ことを信じております。
朝起きて外に出たら、スズメがチュンチュンと鳴き、カラスが街中を物色している… ヒトも家畜・ペットも野生動物も… 普通のことがいつまでも普通であり続けられる健康な地球であることを願っています。

旭山が北極の健康に通じるはず:ルルとピリカ





カラスに食べられたクスサン(ガ)、カラスは地球のお掃除屋さん



平成24年3月16日
福井 大祐