動物園では,人はみな笑顔で動物たちと過ごしています。なぜでしょう。コンラート・ローレンツは次のように言っています。「動物を飼育したいという欲望は、太古から人間の心に潜む気持ちである。文化を持つようになった人間が、自然という失った楽園に対して抱く憧れなのである」と。まさに、レクリエーションとは,リ・クリエーション(Re-creation)すなわち再-創造ということで、人間性を回復するという意味です。
動物たちと一緒の楽しい時間を過ごし,美しい動物たちのすばらしい能力に感動し,生きていることのすばらしさを実感できる場所,それが動物園です。
2.教育の場
動物園では,貴重な野生動物を飼育展示していますが,生きている動物ゆえに感じられる「生命」を通して,来園者は自然環境の多様性を実感を持って知ることができます。
また,動物園ガイドや動物教室,野外観察会などを通して,野生動物の現状を知り,私たちの暮らしと野生動物との深い関わりを学ぶことができます。
さらに、旭山動物園では,出張授業や体験学習で子どもたちに「生命」を感じてもらう取り組みも行っています。
3.自然保護の場
動物園は、絶滅が心配されている動物たちを計画的に繁殖させ,維持することによって、動物種を保存することができます。また,絶滅してしまった地域に,動物園で増やした動物を放して,再び野生の状態を回復させることもできます。
旭山動物園などが中心となって,オジロワシ野生復帰研究会を組織しており,大型猛禽類の野生復帰技術の研究を行っていますが,動物園の具体的な自然保護活動として注目されています。
○保護増殖事業の実績:繁殖賞受賞動物
繁殖賞とは、日本の動物園・水族館で初めて繁殖に成功したときに(社)日本動物園水族館協会から贈られる賞です。受賞には3つの区分があり、いずれも生後半年間生存し た場合に初めて繁殖成功と認定されます。
旭山動物園では15種19例の繁殖賞を受賞しておりますが、その内訳は、北海道産動物が13種を占めており,地元の野生動物の保護増殖に力を入れていることが分かります。特に、繁殖の難しいとされた猛禽類の繁殖に成果が見られております。
また、繁殖賞とは関わりがなくとも、エゾリスやエゾタヌキなどの北海道産動物の保護,増殖にも力を入れております。
4.調査・研究の場
動物園には,野生動物を飼育していることから,比較解剖学,生理学,栄養学,繁殖学上の様々なデータが集まっていました。今では,大学などの研究機関と共に,これらを集大成し,野生動物医学へと発展させています。
また,遺伝学的研究や小個体群管理学が,絶滅を心配される個体群の維持に役立っており,動物園の研究とフィールドの研究が一体となって野生動物の保護へ実効を上げています。そればかりではなく最近では,人獣共通感染症の研究も進められ,人と動物との安全な暮らしへの貢献しているのです。